木材団地(木材通)を訪れた!
堺市美原区の一角に、ちょっとインパクトのある地名が広がっています。
その名も――「木材団地」。
まるで木の楽園のような名前ですが、実はここ、住宅団地ではなく、大阪府でも屈指の本格的な工業団地なんです。しかも、木だけじゃない。鉄もパンもある⁉――そんな木材団地の実態に迫ります。
(撮影 2024.1)(執筆 2025.7)
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「木材団地」ってどんな場所?
木材団地 バス停↑
まず知っておきたいのが、「木材団地」という名前は通称だということ。
たしかにここには「大阪木材工場団地協同組合」という組織は存在します。
しかし、地図や堺市の公的資料には、「木材通(もくざいどおり)各丁目」という住所表記が使われています。
つまり、「木材団地」はその地域の通称で、正式な行政地名としては『木材通』なんですね。
この木材通エリアは、おもに昭和40年代に造成された大規模木材工業団地です。当時、都市部に分散していた製材業者をまとめて移転させることで、騒音や防火の問題を解消しつつ、木材流通の拠点としての機能を持たせる狙いがありました。
美原区の中でも、住宅はほとんど存在せず、工場と倉庫が規則正しく並ぶ、完全な「工業団地」として設計されています。町の名前に「団地」と付きますが、ここに一般的な住宅街のイメージを持って訪れるとギャップに驚くかもしれません。
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木材だけじゃない!鉄もパンもある!
「木材団地」と聞けば、製材所ばかりかと思いきや、実際に歩いてみると、鉄鋼関係の工場や倉庫業者も多く立地しており、金属加工の現場も多く見られます。
さらに意外なのが、食品工場も存在していること。
関西人にはおなじみ、「オイシス」のパン工場(オイシス南大阪工場)もここにあります。木の団地にパン工場という、ちょっと不思議な取り合わせ。実際には、木材団地は名前こそ“木の町”ですが、多様な産業が混在する総合工業団地なのです。
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香りは木の町、実態は産業のハイブリッド
(当記事の写真は日曜日に取材したもの。平日の木材団地は重機や大型車などがたくさんです)
朝の木材団地を歩けば、巨大な材木がクレーンで積み上げられ、フォークリフトが行き交い、製材機械の音が響きわたります。
その風景は観光地とはまったく違いますが、どこか誇り高く、「働く町」としての風格を感じさせてくれます。
一歩足を踏み入れると、そこには一般の人があまり知らない、大阪の産業を支える裏舞台が広がっています。
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名前だけじゃない「木材団地」の底力
堺市美原区の「木材団地」、正式には木材通。
そこは、木材だけでなく、鉄も、食品も、そして多種多様な企業が集まる、まさに“工業団地のハイブリッド地帯”です。
住宅はない、観光地でもない。だけどそこには、人と技術とものづくりの息づかいがあります。
次に地図で「木材通」の文字を見かけたら、ちょっとだけこの町の奥深さを思い出してみてください。
名前に騙されそうになるけど、ここは“木”のまちではなく、“技”のまちなのです。
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『木材団地(木材通)』の場所
グーグルマップ