大阪探訪記

~隠れた名所と不思議なものを求めて~

小平尾川に流れる昔ばなし――鞴橋と平尾城の足あとをたどって【大阪府堺市美原区】

2025-07-21 13:38:32
目次

小平尾川を歩いた!

堺市美原区の静かな住宅街をてくてく歩いていると、ふと現れる細い流れ。それが「小平尾川(こびらおがわ)」です。

見た目はおとなしめの川。ぱっと見ただの用水路っぽく見えるかもしれません。

でも、実はこの小川――火と鉄と戦と、めちゃくちゃ濃い歴史のにおいがぷんぷんする川なんです。

(撮影・執筆 2025.7)(一部、別の日に撮影)

「小平尾」ってどこ?

さつき野公園、小平尾川に架かる橋↑

かつてこの川の周辺には「小平尾村」という村がありました。明治時代の町村制でできた村で、いまは「堺市美原区 小平尾」って名前でちゃんと残っています。

川の名前に「小平尾」って入ってるのも、「この川は村とセットやったんやで」っていう、いわば郷土のレガシーですな。

鞴橋(たたらばし)と鉄の記憶

小平尾川の上流――今のさつき野西あたりには、「鞴橋(たたらばし)」という地名がかつて存在していたと伝えられています。

「鞴(ふいご)」ってのは、製鉄に使う送風装置のこと。

つまり、「鞴橋」は文字通り鉄を打つ場所の橋。

つまりは・・・・・・

このへん、昔ほんまに鉄をつくってた可能性高いで!

・・・・・・ということです。

周辺の丘陵地には木も水も風もあって、まさに「たたら製鉄」にぴったりの地形。

川沿いを歩いてると、「このへんでゴォォォォ!ってふいごの音がしてたんかな・・・」なんて妄想が広がりますな。

平尾城?どこにあるん?

この地域には、南北朝時代に楠木正成の一族が築いたとされる「平尾城」がありました。

・・・が、実は、もうお城は残ってません。ガチで跡形もなし。

そのかわり、現在は「太成学院大学」の正門前に、

「平尾城址」と刻まれた立派な石碑が建てられています。

ただしこの石碑、城そのものがあった場所とはちょっとズレてると言われています。

おそらく本当の城跡はもう少し丘陵の高台のほうやと思います。

つまりいま残るのは、石碑と伝承だけ。でも、川と城の関係を思い描くには十分です。

小平尾川の水が、城下をうるおし、防御にも使われていた・・・・・・

そんな想像、めっちゃロマンあるやん。

鋳物師の村でもあった

小平尾地区に佇む梵鐘↑

この地域、実は「河内鋳物師」の土地でもあります。

鐘や仏具、いろんな金属製品を作っていた職人たちの村。

鋳物づくりにはもちろん水が必須。

小平尾川は、そういった暮らしや信仰を支える、ものづくりの川でもあったのです。

小平尾川 生き物いっぱい

宅地化が進んだ現代においても、小平尾川の周辺には豊かな自然が息づいています。

特に春から秋にかけては、

カワウ、コサギ、カモなどの野鳥が空から舞い降り、川沿いでのんびり過ごす様子が見られます。

カメたちが甲羅干ししていたり、ウシガエルの声がグォーッと響いたりも。

あとは、謎の小魚の大群も泳いでましたわ。

川の水、いまも大活躍中やで!

小平尾川の遊歩道↑(田園地帯が広がってる)

実はこの小平尾川、ただ流れてるだけやないんです。

今でもしっかり働いてます。そう、農業用水として!

近くの田んぼや畑に水を届けるため、自動ポンプでゴゴゴゴォーーッ!!っと水をくみ上げてるんやそうです。

すごない?  川がんばってるやん!

昔は鉄を冷やして、今は野菜を育てて――

何百年もずーっと、地元の暮らしを支えてるえらい川なんですわ。

ほんま、派手さはないけど、地域密着型スーパー川って感じ。

地味やけど、実力は本物やな!

おわりに――流れの向こうにあるもの

小平尾川は、小さな川。でもその流れの中には、

鉄を打つ音、城を見上げる人々の暮らし、水辺のいきものたちが今も息づいています。

ただの川じゃない。

そこに流れてるのは、村の昔ばなしそのものなんです。

美原を歩くとき、ちょっとだけ寄り道して、小平尾川を眺めてみてください。

静かな水の向こうに、歴史と自然が重なって見えてくるかもしれません。

『さつき野公園(小平尾川)』の場所

※あくまで一例ですが、さつき野公園の南側に小平尾川は流れています

グーグルマップ

https://maps.app.goo.gl/3vWJojhaEte327Mm7

この記事を書いた人

しま(桜華綴舎 代表取締役)

ブログ歴10年以上。大阪探訪ライター&プロブロガー。 2014年から、関西の珍スポットなどを紹介する「シマのブログ」(旧ブログ)を書き始め、2025年から新ブログ「大阪探訪記」として再始動しました。 当ブログでは大阪をメインに、関西の面白くて不思議な場所を紹介したり、街の歴史や文化を深掘りしていきたいと思っております。楽しんでいってね!