堺市北区・蔵前町をぶらり
大阪の町歩きが好きな人なら、堺と聞いてまず思い浮かべるのは古墳や港町の景色かもしれません。でも、堺の魅力はそれだけじゃないんです。
今回歩いたのは、堺市北区の蔵前町(くらまえちょう)。
観光スポットという感じではないけれど、静かな路地や古道が織り込まれた、ちょっと奥深い町です。地図で見るだけではわからない、歩いてこそ感じられる空気感を探してきました。
(撮影・執筆 2025.8)
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町の雰囲気
堺市北区、金岡公園の近所にある蔵前町(くらまえちょう)。
地図で見ると平らな住宅地なんですが、実際に歩くと細い路地やクネッと曲がる道が多くて、ちょっとした迷路みたいです。
背の高いマンションもちらほらありますが、主役はやっぱり昔ながらの一軒家や低層の建物たち。どこからか自転車のブレーキ音や洗濯物を干す音が聞こえてきて、「ああ、人が暮らしてる町やなぁ」と感じます。
ニュータウンみたいにきっちり整った景色じゃないけど、そのぶん長年かけて育ってきた町の温かさがにじんでます。
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町名の成り立ち

明治4年測図・大正1年発行の地図↑
今昔マップon the webで昔の蔵前町を確認すると、大正1年発行の地図には「蔵之前」と表記されていました。
その後、大正14年発行の地図には「蔵前」の表記。そして昭和44年発行の地図には「蔵前町」という現在と同じ町名として表記されていました。これらの地図から、蔵前町の土地じたいは、前身である蔵之前から存続する古い町だということはわかりますね。
地名の由来ですが、残念ながら堺市公式の情報はなく、不明となっています。あくまで一般論ですが、「蔵前」という地名は、江戸時代などに米や物資をしまう蔵が並んでいた町などにつけられる町名なので、ここもそうだった可能性はありますね。堺は古来から商いの町だったので。
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古道・長尾街道の存在
長尾街道↑
蔵前町を語るなら、やっぱり長尾街道は外せません。堺から奈良へと抜ける古い街道が、この町の真ん中をスッと通っています。
道沿いには古風な街並みがひっそり残っていて、「ここは昔から人が行き来してた場所やねんなぁ」としみじみ。車の通る広い道とは違って、ついつい自分の足の感覚で曲がりたくなる、そんな不思議な魅力があります。
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レインボー金岡と「おごうビル」
レインボー金岡↑
町の中にはレインボー金岡という地域のランドマーク的な商業施設があります。
そしてもうひとつ、昭和好きならちょっとワクワクするのが「おごうビル」。
おごうビル↑
空き店舗も多く、照明もところどころ暗いんですが、そのくたびれ感がなんとも味わい深いんです。古びた看板やタイルの床、廊下の匂いまで含めて、まるで昭和がタイムカプセルに入って残っているみたい。営業しているお店もあって、のぞくと意外な発見があるかもしれません。
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金岡公園とのつながり
蔵前町から南に少し歩くと金岡公園があります。
金岡公園は戦時中、陸軍の駐屯地だった場所で、戦後に広い公園として整備されました。蔵前町そのものが軍施設の跡というわけではないけれど、こうしてすぐ隣に歴史の舞台があると、なんとなく町の空気にも重なって感じられます。
公園の広々とした空気と、蔵前町の路地裏の静けさをセットで味わえるのも、このエリアを歩く楽しみのひとつです。
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蔵前町を歩いてみて・・・
蔵前町西会館↑
蔵前町のメインストリート沿い↑(交通量の多い道路なので、お店も多いです)
蔵前町は派手さこそないけれど、じわっと沁みるような魅力を持った町です。
古道の名残や昭和の香り。ぶらぶら歩きながらその空気を感じてみると、堺の中でもちょっと特別な“日常”に出会えるはずです。
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堺市北区『蔵前町』の場所
グーグルマップ